経験記述とは
経験記述とは、自身が経験した土木工事について、施工管理上の技術的課題と対応策を記述する問題です。第二次検定の問題1として出題され、配点が高いため合否を左右する重要な問題となっています。
経験記述が重要な理由
- 配点が約40%を占める
- 無記載の場合は他の問題も採点されず不合格となる
- 事前準備なしでは合格点を取ることが難しい
- 実務経験と技術力を直接評価される
令和6年度からの変更点
令和6年度から経験記述の出題形式が変更されました。
主な変更点
| 項目 | 令和5年度まで | 令和6年度から |
| テーマ数 | 1つ | 2つ |
| 出題形式 | 1つのテーマについて詳細に記述 | 2つのテーマについてそれぞれ記述 |
| 対策の必要範囲 | 3テーマ(安全・品質・工程) | 複数テーマの組み合わせ対策が必要 |
令和6年度の2級第二次検定では、「品質管理」と「工程管理」の2テーマについて記述する形式で出題されました。
出典:建設データ株式会社「令和6年度第二次検定(2級)の解説」
経験記述の出題テーマ
経験記述では、以下のテーマから出題されます。過去10年間の傾向では、「安全管理」「品質管理」「工程管理」の3テーマが中心となっています。
主な出題テーマ
| テーマ | 記述内容 |
| 安全管理 | 労働災害防止、第三者災害防止のための対策 |
| 品質管理 | 設計品質を確保するための管理・対策 |
| 工程管理 | 工期内完成のための工程管理・対策 |
| 施工計画 | 施工計画立案時の検討事項 |
| 環境対策 | 環境保全のための対策 |
出典:独学サポート事務局「2級土木施工管理技士の経験記述を完全攻略!」
工事概要の書き方
経験記述では、まず自身が経験した工事の概要を記述します。
工事概要の記載項目
| 項目 | 記載内容 | 記載例 |
| 工事名 | 契約工事名または工事内容がわかる名称 | ○○市道○○号線道路改良工事 |
| 発注者 | 発注機関名(下請の場合は元請業者名) | ○○県○○市土木課 |
| 工事場所 | 正確な住所(番地まで) | ○○県○○市○○町○○番地 |
| 工期 | 契約工期 | 令和○年○月○日〜令和○年○月○日 |
| 主な工種 | 経験記述で取り上げる工種 | コンクリート工、路盤工、舗装工 |
| 施工量 | 工事で施工した数量 | 掘削○○㎥、盛土○○㎥、舗装○○㎡ |
| あなたの立場 | 工事における役職・担当 | 現場代理人、主任技術者、現場主任 |
工事概要記載時の注意点
- 土木工事であることが明確にわかる工事を選ぶ
- なるべく規模の大きい公共工事を選ぶ
- 工期2ヶ月以上の工事を取り上げる
- 過去1〜5年程度に完成した工事を選ぶ
- 10年以上前の古い工事は避ける
- 現在施工中の工事は避ける
出典:国家資格対策センター「2級土木施工管理技士 二次検定試験」
経験記述の構成
経験記述は、以下の構成で記述します。
基本構成
- 現場状況と技術的課題
- 検討した項目と検討理由・検討内容
- 実施した対応処置とその評価
記述のポイント
- 具体的な数値(寸法、数量、日数など)を入れる
- 技術的な専門用語を適切に使用する
- 検討内容は2つ程度用意する
- 対応処置の結果(効果)まで記述する
- 箇条書きを活用してわかりやすく記述する
テーマ別の書き方と例文
品質管理の書き方
品質管理では、設計品質を確保するためにどのような管理・対策を行ったかを記述します。
品質管理で取り上げやすいテーマ
- コンクリートの品質管理(スランプ、空気量、養生など)
- 盛土の締固め管理
- アスファルト舗装の品質管理(温度管理、転圧など)
- 材料の品質確保
品質管理の例文(コンクリート工事)
現場状況と技術的課題:
本工事は、○○市発注の擁壁築造工事であり、現場打ちコンクリート擁壁(高さ3.0m、延長50m)を施工するものであった。施工時期が8月であり、日中の気温が30℃を超える暑中コンクリートとなるため、コンクリートの品質確保が課題であった。
検討した項目と検討内容:
①コンクリートの練り混ぜから打設までの時間を1.5時間以内とし、運搬中のスランプロスを最小限に抑えることを検討した。
②打設後の養生方法について、散水養生とシート養生を併用し、コンクリート表面の乾燥を防止することを検討した。
実施した対応処置とその評価:
①生コン工場との事前打合せにより、打設開始時刻に合わせた出荷を行い、運搬時間を40分以内に短縮した。現場到着時のスランプ試験で規格値内であることを確認した。
②打設後直ちに湿潤養生を開始し、5日間継続した結果、ひび割れの発生を防止でき、所定の圧縮強度を確保できた。
安全管理の書き方
安全管理では、労働災害や第三者災害を防止するためにどのような対策を行ったかを記述します。
安全管理で取り上げやすいテーマ
- 重機作業時の安全対策
- 掘削作業時の土砂崩壊防止
- 高所作業時の墜落防止
- 交通誘導・第三者災害防止
- 熱中症対策
安全管理の例文(掘削工事)
現場状況と技術的課題:
本工事は、○○市発注の下水道管渠築造工事であり、深さ2.5mの開削工法により管渠を敷設するものであった。掘削深さが2mを超えることから、土砂崩壊による労働災害の防止が課題であった。
検討した項目と検討内容:
①土質調査の結果をもとに、適切な土留め工法を選定することを検討した。
②作業員の安全確保のため、掘削作業前の点検項目と作業手順を明確にすることを検討した。
実施した対応処置とその評価:
①地質がN値5以下の軟弱地盤であったため、軽量鋼矢板による土留めを採用し、掘削深さ+0.5mの根入れを確保した。
②毎朝の作業前ミーティングで土留めの変状確認を義務付け、異常時の退避方法を周知した結果、工期中の土砂崩壊事故は発生しなかった。
工程管理の書き方
工程管理では、工期内に工事を完成させるためにどのような管理・対策を行ったかを記述します。
工程管理で取り上げやすいテーマ
- 天候不良による工程遅延への対策
- 工期短縮のための施工方法の工夫
- 工程のクリティカルパスの管理
- 関連工事との調整
工程管理の例文(舗装工事)
現場状況と技術的課題:
本工事は、○○県発注の道路舗装修繕工事であり、延長500mの車道舗装打換えを行うものであった。梅雨時期の着工となり、降雨による作業中止が予想されたため、工期内完成のための工程管理が課題であった。
検討した項目と検討内容:
①週間天気予報を活用した作業計画の立案と、晴天日を最大限活用することを検討した。
②舗装作業班を増員し、1日あたりの施工量を増加させることを検討した。
実施した対応処置とその評価:
①週初めに週間工程会議を実施し、天候を考慮した作業計画を作成した。晴天日には作業時間を延長し、施工量を1.5倍に増加させた。
②作業班を2班体制とし、路盤工と舗装工を並行して進めた結果、当初計画より5日短縮して工事を完成させることができた。
経験記述の注意点
減点されやすいポイント
- 工事概要と記述内容に整合性がない
- 具体的な数値や対策が記載されていない
- 専門用語の使い方が不適切
- 文字が読みにくい(乱暴な字、癖字)
- 解答欄に空白が多い
- 誤字・脱字が多い
避けるべき工事
- 土木工事かどうか判定しにくい特殊な工事
- 個人住宅の造成など小規模な工事
- 工期2ヶ月未満の軽微な工事
- 10年以上前の古い工事
経験記述の対策方法
事前準備の手順
- 自身の施工経験を振り返り、使用する工事を選定する
- 3テーマ(安全・品質・工程)すべてについて記述を準備する
- 実際に手書きで記述を作成する
- 先輩や専門家に添削を依頼する
- 修正後の記述を暗記する
添削サービスの活用
経験記述は自己採点が難しいため、第三者による添削を受けることをおすすめします。通信講座や対策講座の添削サービスを利用することで、記述の改善点を客観的に把握できます。
試験当日の時間配分
第二次検定の試験時間は2時間です。経験記述に多くの時間を使うと、他の問題を解く時間がなくなります。
| 問題 | 目安時間 |
| 経験記述(問題1) | 40〜50分 |
| 学科記述(問題2〜9) | 60〜70分 |
| 見直し | 10〜20分 |
経験記述は事前に準備した内容を書き写す形になるため、当日は記憶を思い出しながら書くことに集中します。
まとめ
2級土木施工管理技士の経験記述は、第二次検定の合否を左右する重要な問題です。令和6年度から出題形式が変更され、複数テーマについて記述する形式になりました。
合格のためのポイントは以下の3点です。
- 3テーマ(安全・品質・工程)すべてについて記述を準備する
- 具体的な数値と専門用語を使って記述する
- 事前に添削を受け、修正した記述を暗記する
経験記述は事前準備が9割を占めます。試験日までに十分な準備を行い、自信を持って試験に臨みましょう。