「土木はやめとけ」と言われる8つの理由
1. 労働時間が長い・残業が多い
土木業界、特に施工管理職は労働時間が長い傾向があります。国土交通省の調査によると、建設業の年間労働時間は全産業平均より約330時間長いとされています。
施工管理職の残業時間は月30〜50時間程度で、全職種平均(約20時間)の1.5〜2倍です。日中は現場で作業の指揮・監督を行い、夕方以降に事務所で書類作成を行うため、労働時間が長くなりがちです。
2. 休日が少ない
建設業界の年間休日は約107〜113日で、全産業平均(約116日)より少ない傾向にあります。建設現場は土曜日も稼働していることが多く、日曜・祝日のみ休みという会社も少なくありません。
また、工期の遅れや天候による作業中止の振り替えなどで、休日出勤が発生することもあります。
3. 体力的にきつい
土木作業は肉体労働が中心です。重い資材を運んだり、長時間立ち続けたりすることが多く、体力が必要です。
また、土木工事は屋外作業が基本なので、夏の暑さや冬の寒さの影響を直接受けます。熱中症対策や防寒対策が必要で、天候に関係なく作業を続けなければならないこともあります。
4. 危険を伴う作業がある
建設現場は労働災害のリスクがある職場です。重機が稼働していたり、足場が不安定な場所があったり、高所での作業があったりします。
安全管理は徹底されていますが、一つのミスが重大事故につながる可能性があるため、常に緊張感を持って作業する必要があります。
5. 工期を守るプレッシャーがある
土木工事では納期(工期)が絶対です。施工管理は工程通りに進行しているかを日々チェックし、遅れが生じた場合は即座に対応しなければなりません。
しかし、土木工事では天候不良、地盤の問題、資材の遅延などのトラブルがつきもので、予定通りに進むことの方が珍しいのが現実です。このプレッシャーが精神的な負担になることがあります。
6. 業務量と給与が見合わないと感じることがある
土木作業員の平均年収は約415〜428万円と、日本の平均年収(約460万円)を下回っています。業務の大変さに比べて給与が見合わないと感じる人もいます。
ただし、施工管理職の平均年収は約600万円以上と高く、資格や経験によって大きく変動します。
7. 転勤・出張が多い
土木工事は現場ごとに勤務地が変わります。全国展開している会社の場合、転勤や長期出張が発生することがあります。単身赴任になるケースも少なくありません。
家族との時間を大切にしたい人にとっては、デメリットに感じることがあります。
8. 人間関係のストレスがある
土木工事には発注者、元請け、協力会社など多くの関係者が存在します。施工管理は中間管理職的な立場となり、様々な立場の人との調整が必要です。
また、現場では年配の職人と若手技術者が一緒に働くことも多く、コミュニケーションに気を遣う場面もあります。
土木業界の「3K」イメージは過去のもの?
土木業界は長年「3K(きつい・汚い・危険)」と呼ばれてきました。しかし、近年は業界全体で労働環境の改善が進んでいます。
2024年4月からの働き方改革
2024年4月から、建設業にも時間外労働の上限規制が罰則付きで適用されました。これにより、残業時間の削減や週休2日制の導入が進んでいます。
| 項目 | 上限規制の内容 |
| 月間残業時間 | 45時間以内(原則) |
| 年間残業時間 | 360時間以内(原則) |
| 特別条項適用時 | 年720時間以内、月100時間未満など |
国土交通省の取り組み
国土交通省は「建設業働き方改革加速化プログラム」を推進しています。主な施策は以下の通りです。
- 長時間労働の是正
- 週休2日対象工事の拡大
- 給与水準の向上
- 社会保険加入の徹底
- ICT活用による生産性向上
建設DXの推進
ICT(情報通信技術)を活用した建設DXが進んでいます。ドローンによる測量、3次元データの活用、施工管理アプリの導入などにより、業務の効率化が図られています。
土木業界で働くメリット・魅力
「やめとけ」という声がある一方で、土木業界には多くのメリットや魅力があります。
1. 仕事がなくなる心配がない
道路、橋、トンネルなどのインフラは社会に不可欠です。新設だけでなく、老朽化したインフラの更新・維持管理の需要も高まっています。
国土交通省のデータによると、建設から50年以上経過するインフラは2040年頃にかけて急増する見込みです。土木の仕事は今後も安定した需要が見込めます。
2. 給与が高い(施工管理職の場合)
土木施工管理技術者の平均年収は約600万円で、全職種平均を上回ります。1級土木施工管理技士を取得すれば、年収700万円以上も十分に可能です。
また、人手不足を背景に、公共工事の設計労務単価は12年連続で引き上げられています。
3. 資格取得でキャリアアップできる
土木業界は資格が評価される業界です。土木施工管理技士、技術士などの資格を取得すれば、着実にキャリアアップできます。
2024年度からは受験資格が緩和され、若い人でも資格取得を目指しやすくなりました。
4. 形に残る仕事ができる
土木工事で作られた道路や橋は、数十年にわたって地域に残り続けます。自分が携わった工事が地図に残り、多くの人に利用される達成感は大きなやりがいです。
5. 社会貢献を実感できる
土木工事の多くは公共工事です。災害復旧工事、インフラ整備、防災工事など、地域社会に直接貢献する仕事に携わることができます。
6. 手に職がつく
土木の技術や資格は、どこでも通用する「手に職」です。経験と資格があれば、転職しても価値を発揮できます。
土木業界に向いている人の特徴
向いている人
- 体力に自信がある、体を動かすことが好き
- 屋外での仕事が苦にならない
- ものづくりにやりがいを感じる
- チームワークを大切にできる
- 安定した仕事に就きたい
- 資格を取得してキャリアアップしたい
- 長時間労働や責任の重さに耐えられる
向いていない人
- デスクワーク中心の仕事がしたい
- 定時で帰りたい、残業したくない
- 肉体労働が苦手
- 暑さ・寒さが極端に苦手
- プレッシャーに弱い
- 単身赴任や転勤を避けたい
ホワイトな会社を選ぶポイント
土木業界でも、労働環境の良い「ホワイト企業」は存在します。会社選びで注目すべきポイントを紹介します。
1. 週休2日制の有無
完全週休2日制を導入している会社は、労働環境改善に積極的な証拠です。求人票で休日数を確認しましょう。年間休日120日以上が目安です。
2. 公共工事が中心か
公共工事は工期や予算が比較的安定しており、週休2日制の対象工事も増えています。民間工事中心の会社より、労働環境が整っている傾向があります。
3. 資格取得支援制度
資格取得支援制度が充実している会社は、社員の成長を重視しています。受験料の補助、講習費用の負担、合格祝い金などがあるか確認しましょう。
4. 地元密着型か全国展開か
転勤を避けたい場合は、地元密着型の会社を選びましょう。転勤の有無は求人票や面接で確認できます。
5. 離職率・平均勤続年数
離職率が低く、平均勤続年数が長い会社は、働きやすい環境である可能性が高いです。
土木業界の離職率は実は低い
「やめとけ」と言われる土木業界ですが、実は離職率は他業界より低いのです。
厚生労働省の調査によると、建設業の離職率は10.2%で、全産業平均(15%)を下回っています。一度入職すると長く働く人が多い業界といえます。
ただし、入職率も8.1%と低く(全産業平均15.2%)、若手の確保が課題となっています。
結論:「やめとけ」は過去のイメージ
土木業界が「やめとけ」と言われる理由は確かに存在します。しかし、2024年以降、業界は大きく変わりつつあります。
「やめとけ」と言われる主な理由は以下の通りです。
- 労働時間が長い
- 休日が少ない
- 体力的にきつい
- 危険を伴う
- 工期のプレッシャーがある
一方、土木業界には以下のようなメリットがあります。
- 仕事がなくなる心配がない
- 給与が高い(施工管理職)
- 資格でキャリアアップできる
- 形に残る仕事ができる
- 社会貢献を実感できる
2024年4月からの働き方改革により、労働環境は着実に改善されています。「やめとけ」というイメージは過去のものになりつつあります。
土木業界に興味がある方は、会社選びを慎重に行い、自分に合った環境で働くことが大切です。労働環境の改善に積極的な会社を選べば、やりがいを持って長く働くことができるでしょう。