「ドボジョ」とは「土木女子」の略称で、土木業界で働く女性たちへの愛称です。国土交通省も女性の活躍を積極的に推進しており、女性が働きやすい環境整備が進んでいます。
この記事では、ドボジョの現状や女性が活躍できる職種、キャリアパス、会社選びのポイントまで詳しく解説します。
ドボジョ(土木女子)とは
ドボジョとは「土木」と「女子」を組み合わせた造語で、土木業界で働く女性を指す愛称です。かつては男性中心のイメージが強かった土木業界ですが、技術の進歩や働き方改革の影響で、女性が活躍する場面が増えてきました。
土木業界で女性が担う仕事は多岐にわたります。現場監督として工事を指揮する女性、設計士としてインフラを支える女性、CADオペレーターとして図面作成を担当する女性など、さまざまな分野で活躍しています。
建設業における女性の現状
女性就業者数の推移
建設業で働く女性の数は増加傾向にあります。日本建設業連合会の調査によると、建設業の女性就業者数は2018年以降80万人台で推移しており、2024年には87万人となっています。
| 項目 | 数値・割合 |
|---|---|
| 女性就業者数 | 約87万人 |
| 建設業全体に占める女性の割合 | 約19.4% |
| 技術者における女性割合 | 約10% |
| 技能者における女性割合 | 約2% |
| 2024年度採用実績(技術者)の女性割合 | 20% |
| 2024年度採用実績(技能者)の女性割合 | 6% |
出典:日本建設業連合会「建設業ハンドブック」、国土交通省「建設産業における女性の定着促進に向けた取組について」
女性技術者は増加傾向
建設業における女性技術者・技能者は増加傾向にあります。平成26年における女性技術者は1.1万人でしたが、令和元年には2.2万人と倍増しました。女性技能者も8.7万人から11万人に増加しています。
特に2024年度の採用実績では、技術者の女性割合が20%に達しており、今後さらに女性技術者が増えることが期待されています。
国・業界による女性活躍推進の取り組み
もっと女性が活躍できる建設業行動計画
国土交通省と建設業5団体は、2014年に「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」を策定しました。この計画では、女性の技術者・技能者を5年以内に倍増させることを目標に掲げています。
主な取り組みの柱は以下の4つです。
- 建設業への入職促進:女性を積極的に受け入れる土台づくり
- 就労継続支援:産休・育休制度の整備、復職支援
- 女性の活躍・キャリアアップ:研修制度、スキルアップ支援
- 情報発信:女性が活躍する姿のPR活動
令和6年度の新たな実行計画
令和6年度には、国土交通省と建設業6団体が共同で新たな実行計画を策定しました。「トップの意識を変えて、現場が変わる。担い手確保につなぐ、全ての人が働きやすく働きがいのある魅力ある建設産業の実現へ」を掲げ、女性の定着促進に向けた取り組みを強化しています。
出典:国土交通省「建設産業における女性の定着促進に向けた取組について」
女性が土木業界で活躍できる理由
コミュニケーション能力が評価される
建設現場では、さまざまな立場や職種の人が出入りします。女性はコミュニケーション能力が高く、周囲の人とネットワークを構築して仕事を進めるのが得意な傾向があります。そのため、段取りや調整に長けていると男性からも高く評価されています。
工程間のネットワークが重視される建設業において、女性の調整能力は大きな強みとなります。
女性ならではの視点が活きる
造園業やリフォーム業では、女性ならではのデザインセンスや生活者視点を活かした提案が可能です。例えばキッチンのリフォームでは、よく料理をする女性のほうがお客様のニーズに応えやすいという声もあります。
力仕事以外の職種が多い
土木業界と聞くと力仕事のイメージがありますが、施工管理や設計、CADオペレーターなど、体力的な負担が少ない職種も多くあります。特に施工管理は直接作業を行うわけではないため、体力面でのハンデはあまりありません。
女性が活躍しやすい土木関連の職種
| 職種 | 仕事内容 | 女性が活躍できる理由 |
|---|---|---|
| 施工管理 | 工程・品質・安全・原価などの管理 | コミュニケーション能力、細やかな配慮が活きる |
| CADオペレーター | 設計図面の作成・修正 | デスクワーク中心、体力的負担が少ない |
| 土木設計 | 構造物の設計、図面作成 | 技術力で評価される、体力に関係なく活躍可能 |
| 建設コンサルタント | 発注者支援、調査・計画・設計 | 現場に常駐しない働き方が可能 |
| 測量士 | 土地の測量、データ分析 | 専門技術で評価される、独立も可能 |
| 重機オペレーター | バックホウ、ブルドーザーなどの操作 | 繊細な操作が求められ、女性でも十分活躍可能 |
CADオペレーターは特におすすめ
土木設計の仕事では、CADオペレーターの力が必要とされます。設計者が考えた形状を図面にしたり、各業者に指示を出すための詳細な図面を描いたりするのが主な仕事です。
基本的にはパソコンに向かってデスクワークをこなす仕事なので、土木業界と聞いてイメージするような「3K」の仕事内容ではありません。女性でも働きやすい土木の仕事として、実際に設計事務所などで活躍する女性が増えています。
ドボジョが抱える課題と解決策
現場環境の課題
女性が土木業界で働く上で課題となるのが、トイレや更衣室の問題です。かつては男女共用のトイレが多く、女性にとって不便な環境でした。
しかし、国土交通省と建設5団体は「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」において、女性用トイレや更衣室の増加などの環境整備を促進しています。近年は多くの現場で女性専用設備が整備されるようになりました。
体力面の不安
体力面での不安を感じる女性も多いですが、土木業界には体力を必要としない職種も多くあります。施工管理やCADオペレーター、設計業務などは体力的な負担が少なく、女性でも長く働き続けることができます。
結婚・出産との両立
結婚・出産・育児との両立については、業界全体として労働環境の整備が進んでおり、産休・育休からの復帰がしやすい傾向になっています。
産休や育休明けでしばらく体を動かすのが負担なら、施工図の作成や現場の書類整理といった事務作業から復帰することも可能です。女性を重用する意識の高い会社なら、子育てをしながら働くお母さんへのサポート体制も整備されています。
女性が働きやすい会社の選び方
チェックポイント
- 「女性歓迎」の記載があるか:女性歓迎の企業は環境整備が進んでいる可能性が高い
- 既に女性社員が活躍しているか:先輩がいれば相談しやすい
- 女性用トイレ・更衣室が完備されているか:基本的な環境が整っているか確認
- 産休・育休制度が充実しているか:復帰後の働き方も含めて確認
- 時短勤務や日短勤務の制度があるか:ライフイベントに対応できるか
- 大手企業かどうか:大手企業のほうが環境整備が進んでいる傾向
公共工事中心の会社がおすすめ
公共工事を中心に手がけている会社は、官公庁に準じた完全週休2日制を採用していることが多く、労働環境が安定している傾向があります。建設コンサルタントなど、発注者支援業務を行う会社も女性が働きやすい環境が整っています。
ドボジョのキャリアパス
| キャリア段階 | 期間の目安 | 主な業務・役割 | 取得を目指す資格 |
|---|---|---|---|
| 見習い期間 | 入社1〜2年目 | 先輩のサポート、基礎業務の習得 | 2級土木施工管理技士(第一次検定) |
| 一人前の技術者 | 入社3〜5年目 | 担当業務を任される | 2級土木施工管理技士 |
| 中堅技術者 | 入社5〜10年目 | 現場のリーダー、後輩指導 | 1級土木施工管理技士 |
| 管理職 | 入社10年以上 | 現場代理人、プロジェクトマネージャー | 技術士 |
資格取得でキャリアアップ
土木業界は資格が評価される業界です。2級土木施工管理技士、1級土木施工管理技士などの資格を取得すれば、着実にキャリアアップできます。
2024年度からは受験資格が緩和され、1級土木施工管理技士の第一次検定は19歳以上であれば誰でも受験可能になりました。若いうちから資格取得を目指すことができます。
ドボジョの年収
土木業界の給与水準は、一般的な事務職や販売職に比べて高めです。特に資格を取得することで収入アップが期待できます。
| 職種 | 年収目安 |
|---|---|
| 土木作業員 | 350〜450万円 |
| CADオペレーター | 350〜500万円 |
| 施工管理(2級資格保有) | 450〜550万円 |
| 施工管理(1級資格保有) | 550〜700万円 |
| 土木設計技術者 | 500〜700万円 |
未経験からドボジョになるには
ステップ1:興味のある職種を決める
まずは自分がしたい仕事をはっきりとイメージしましょう。施工管理、CADオペレーター、設計など、土木業界にはさまざまな職種があります。それぞれの仕事内容を調べて、自分に合った職種を選びましょう。
ステップ2:女性を歓迎している会社を探す
「土木を志す女性にぜひ来ていただきたい」という想いを持っている会社は、「女性が働きやすい環境とは何か」を真剣に考えています。求人情報で「女性歓迎」「女性活躍中」などの記載がある会社を中心に探してみましょう。
ステップ3:資格取得を目指す
入社後は、まず2級土木施工管理技士の第一次検定合格を目指しましょう。17歳以上であれば誰でも受験可能です。資格を取得することで、キャリアアップの道が開けます。
まとめ
土木業界は「男性の仕事」というイメージがありますが、実際には女性が活躍できる職種が多くあります。国土交通省や業界団体も女性の活躍を積極的に推進しており、女性用トイレ・更衣室の整備や産休・育休制度の充実など、働きやすい環境づくりが進んでいます。
施工管理やCADオペレーター、設計など、体力的な負担が少なく女性の能力が活きる職種も多くあります。資格を取得すれば着実にキャリアアップでき、年収アップも期待できます。
土木業界に興味がある女性の方は、まずは「女性歓迎」を掲げている会社の求人情報を探してみてください。先輩ドボジョたちが活躍する姿を見れば、きっと土木業界で働くイメージが湧いてくるはずです。