この記事では、土木業界の労働災害の現状と、企業・個人が行う安全対策について解説します。
建設業の労働災害の現状
死亡災害の状況
厚生労働省の発表によると、令和5年(2023年)の建設業における死亡者数は223人で、前年より58人(20.6%)減少しました。長期的に見ると、建設業の労働災害は大きく減少しています。
| 年代 | 死亡者数(目安) |
|---|---|
| 1970年代 | 約2,500人/年 |
| 1990年代 | 約1,000人/年 |
| 2010年代 | 約300〜400人/年 |
| 2023年 | 223人 |
出典:厚生労働省、建設業労働災害防止協会
国の目標
第14次労働災害防止計画(令和5〜9年度)では、「建設業における死亡者数を令和9年までに15%以上減少させる」ことが目標に掲げられています。
土木工事で多い事故の種類
1. 墜落・転落
建設業の死亡災害で最も多いのが「墜落・転落」です。全体の約4割を占めています。
- 足場からの墜落
- 屋根・屋上からの転落
- 開口部からの墜落
- はしご・脚立からの転落
2. はさまれ・巻き込まれ
重機や機械による「はさまれ・巻き込まれ」事故も多く発生しています。
- ショベルカーなど建設機械との接触
- クレーン作業中の事故
- 機械への巻き込まれ
3. 崩壊・倒壊
- 掘削面の崩壊
- 土砂崩れ
- 構造物の倒壊
4. 交通事故
- 工事車両による事故
- 現場内での接触事故
5. 飛来・落下
- 資材の落下
- 飛散物による事故
企業が行う安全対策
1. 安全衛生教育の実施
- 新規入場者教育
- 職長・安全衛生責任者教育
- 作業内容に応じた特別教育
- 危険予知(KY)活動
2. 墜落防止対策
- 手すり先行工法の採用
- 安全帯(墜落制止用器具)の使用徹底
- 親綱の設置
- 開口部への囲い・覆いの設置
3. 重機災害防止対策
- 立入禁止区域の設定
- 誘導員の配置
- 作業計画の作成
- バックホウセンサーなどの導入
4. 安全設備の設置
- 土止め支保工の設置
- 防護柵の設置
- 照明設備の確保
- 警報装置の設置
5. 安全パトロール・点検
- 日常点検の実施
- 定期的な安全パトロール
- リスクアセスメントの実施
作業員個人が行う安全対策
1. 保護具の着用
| 保護具 | 目的 |
|---|---|
| ヘルメット(保護帽) | 頭部の保護 |
| 安全帯(フルハーネス) | 墜落防止 |
| 安全靴 | 足の保護 |
| 保護メガネ | 目の保護 |
| 手袋 | 手の保護 |
| 反射ベスト | 視認性の向上 |
2. 基本ルールの遵守
- 作業前の安全確認(KY活動への参加)
- 指示された作業手順の遵守
- 立入禁止区域に入らない
- 不安全行動をしない
- 体調管理(睡眠、アルコール)
3. 声かけ・コミュニケーション
- 作業開始前の合図
- 危険を感じたら報告する
- 仲間への声かけ
安全に働くためのポイント
- 「慣れ」が一番危険:経験を積むと油断しやすいので注意
- 急いでいるときこそ安全確認:焦りが事故につながる
- 「おかしい」と思ったら声を上げる:危険を見過ごさない
- 体調管理を怠らない:疲労や睡眠不足は事故の原因に
転職者が確認すべきポイント
土木業界への転職を考えている方は、以下の点を確認しましょう。
- 安全教育・研修制度が整っているか
- 安全装備・保護具が支給されるか
- 労災保険に加入しているか
- 安全管理体制(安全担当者の配置)
- 過去の労働災害の発生状況
まとめ
土木工事には墜落・転落、はさまれ・巻き込まれなどの危険がありますが、適切な安全対策を行うことで事故を防ぐことができます。建設業の死亡災害は長期的に減少傾向にあり、安全管理の取り組みが成果を上げています。
転職を考えている方は、会社の安全管理体制や教育制度をしっかり確認しましょう。個人としても、保護具の着用や基本ルールの遵守を徹底し、安全に働くことが大切です。