受験資格緩和の背景
施工管理技士の受験資格が緩和された背景には、建設業界の深刻な人手不足があります。
建設業界の現状
- 技術者の高齢化が進行(60歳以上が約25.7%)
- 若手技術者の不足(29歳以下が約11.7%)
- 施工管理技士の有資格者減少が懸念されている
- インフラ老朽化対策で工事需要は増加傾向
施工管理技士は工事現場に必ず配置しなければならない技術者です。有資格者を早急に増やすため、受験資格のハードルを下げることになりました。
2024年度からの主な変更点
1級土木施工管理技士の変更点
| 検定 | 改正前(令和5年度まで) | 改正後(令和6年度から) |
| 第一次検定 | 学歴に応じた実務経験が必要(大卒3年、高卒10年など) | 19歳以上であれば誰でも受験可能 |
| 第二次検定 | 学歴に応じた実務経験が必要 | 第一次検定合格後の実務経験で受験可能 |
最も大きな変更点は、1級の第一次検定が「19歳以上であれば誰でも受験可能」になったことです。
これまで高卒者は、指定学科を卒業しても卒業後10年、指定学科以外だと11.5年の実務経験が必要でした。つまり、最短でも28歳以上でなければ第一次検定を受験できなかったのです。
改正後は高校卒業後1年で受験できるようになり、若くして1級技士補の資格を取得できるようになりました。
2級土木施工管理技士の変更点
| 検定 | 改正前(令和5年度まで) | 改正後(令和6年度から) |
| 第一次検定 | 17歳以上であれば受験可能 | 変更なし(17歳以上) |
| 第二次検定 | 学歴に応じた実務経験が必要 | 第一次検定合格後の実務経験で受験可能 |
2級の第一次検定は従来通り17歳以上であれば受験可能です。高校在学中に挑戦できます。
出典:CIC日本建設情報センター「土木施工管理技士試験の受験資格」
新制度の受験資格(詳細)
1級土木施工管理技士
第一次検定
受験する年度末時点で19歳以上であれば、学歴・実務経験不問で誰でも受験可能。
第二次検定
以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
| 区分 | 受験資格 |
| a | 1級技士補(第一次検定合格者)で、実務経験5年以上 |
| b | 1級技士補で、特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上 |
| c | 1級技士補で、監理技術者補佐としての実務経験1年以上 |
| d | 2級技士(第二次検定合格者)で、実務経験5年以上 |
| e | 2級技士で、特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上 |
2級土木施工管理技士
第一次検定
受験する年度末時点で17歳以上であれば、学歴・実務経験不問で誰でも受験可能。
第二次検定
以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
| 区分 | 受験資格 |
| f | 2級技士補(第一次検定合格者)で、実務経験3年以上 |
| g | 1級技士補(1級第一次検定合格者)で、実務経験1年以上 |
特定実務経験とは
新制度で登場した「特定実務経験」について解説します。
特定実務経験とは、以下の条件を満たす工事での施工管理経験を指します。
- 請負金額4,500万円以上の建設工事(建築一式工事は7,000万円以上)
- 監理技術者または主任技術者(当該業種の監理技術者資格者証を有する者に限る)の指導の下で施工管理を行った経験
- または、自ら監理技術者・主任技術者として施工管理を行った経験
つまり、一定規模以上の工事で、有資格者の指導を受けながら施工管理を行った経験のことです。
経過措置について
新制度への移行に伴い、令和6年度から令和10年度までの5年間は経過措置が設けられています。
経過措置のポイント
- 令和10年度までは、旧受験資格でも第二次検定を受験可能
- 令和10年度までに第一次検定に合格すれば、合格前の実務経験もカウント可能
新制度では「第一次検定合格後の実務経験」が要件となりますが、経過措置期間中は合格前の実務経験も認められます。
出典:建設転職ナビ「2024年から受検資格が緩和される施工管理技術検定を解説!」
旧制度との比較(学歴別)
大学卒業者の場合
| 項目 | 旧制度 | 新制度 |
| 1級第一次検定 | 指定学科卒業後3年、その他4.5年の実務経験 | 19歳以上で受験可能 |
| 最短取得年齢 | 約25〜27歳 | 約21〜24歳 |
高校卒業者の場合
| 項目 | 旧制度 | 新制度 |
| 1級第一次検定 | 指定学科卒業後10年、その他11.5年の実務経験 | 19歳以上で受験可能 |
| 最短取得年齢 | 約28〜30歳 | 約21〜24歳 |
特に高卒者にとっては大きなメリットがあります。旧制度では28歳以上でなければ1級の第一次検定を受験できませんでしたが、新制度では19歳から受験可能です。
技士補の活用
第一次検定に合格すると「施工管理技士補」の資格が付与されます。
技士補のメリット
- 1級技士補は監理技術者の補佐として現場に配置可能
- 2級技士補は主任技術者の補佐として活躍可能
- 就職・転職時のアピールポイントになる
- 実務経験を積みやすくなる
技士補として働きながら実務経験を積み、第二次検定の受験資格を得るという流れが一般的になっています。
新制度を活用した最短取得ルート
高校生からのルート
- 高校在学中(17歳):2級第一次検定に合格 → 2級技士補取得
- 19歳:1級第一次検定に合格 → 1級技士補取得
- 20歳(実務経験1年):2級第二次検定に合格 → 2級土木施工管理技士取得
- 24歳(実務経験5年):1級第二次検定に合格 → 1級土木施工管理技士取得
新制度を活用すれば、最短21歳で2級、24歳で1級の土木施工管理技士を取得することも可能です。
大学生からのルート
- 大学在学中(19歳):1級第一次検定に合格 → 1級技士補取得
- 大学卒業後1年:2級第二次検定に合格 → 2級土木施工管理技士取得
- 大学卒業後3〜5年:1級第二次検定に合格 → 1級土木施工管理技士取得
指定学科卒業のメリットは残る?
受験資格から学歴要件が撤廃されても、指定学科を卒業するメリットは残ります。
2029年度以降に導入予定の免除制度
2029年度以降、特定の学科を卒業した人は、第一次検定の一部科目(工学基礎に関する問題)が免除される予定です。
実務でのメリット
- 土木工学の専門知識が身についている
- 試験対策がしやすい
- 現場での理解が早い
実務経験として認められる工事
第二次検定の受験資格となる実務経験は、以下の工事での施工管理経験です。
実務経験として認められる工事
- 土木一式工事
- とび・土工・コンクリート工事
- 石工事
- 鋼構造物工事
- 舗装工事
- しゅんせつ工事
- 水道施設工事
- 解体工事
実務経験として認められない工事
- 建築一式工事
- 電気工事
- 管工事
- 単なる雑務や労務作業のみの経験
実務経験に該当する工事に従事しているか、事前に確認しておきましょう。
未経験者へのアドバイス
土木業界未経験の方が資格取得を目指す場合の流れを紹介します。
ステップ1:まずは第一次検定に挑戦
2級は17歳以上、1級は19歳以上であれば誰でも受験可能です。実務経験がなくても、まず第一次検定に合格して技士補の資格を取得しましょう。
ステップ2:土木業界に就職
技士補の資格があると就職・転職で有利になります。未経験者を受け入れている建設会社に就職し、実務経験を積みましょう。
ステップ3:実務経験を積んで第二次検定に挑戦
必要な実務経験を積んだら、第二次検定に挑戦します。経験記述の準備が重要です。
令和7年度の試験スケジュール
| 項目 | 1級 | 2級 |
| 申込期間 | 令和7年3月17日〜4月4日 | 令和7年3月5日〜3月19日 |
| 第一次検定 | 令和7年7月6日 | 令和7年6月1日 |
| 第一次合格発表 | 令和7年8月14日 | 令和7年7月2日 |
| 第二次検定 | 令和7年10月5日 | 令和7年10月26日 |
| 最終合格発表 | 令和8年1月9日 | 令和8年2月4日 |
まとめ
2024年度から土木施工管理技士の受験資格が大幅に緩和されました。主な変更点は以下の通りです。
- 1級第一次検定:19歳以上であれば誰でも受験可能に
- 2級第一次検定:従来通り17歳以上で受験可能
- 第二次検定:学歴要件が撤廃され、第一次検定合格後の実務経験で受験可能
- 令和10年度までは経過措置あり
この制度改正により、未経験者でも計画的に資格取得を目指しやすくなりました。
まずは第一次検定に挑戦して技士補の資格を取得し、土木業界に就職して実務経験を積むという流れがおすすめです。新制度を活用して、土木施工管理技士の資格取得を目指しましょう。