この記事では、建設コンサルタントの仕事内容、年収、必要な資格、ゼネコンとの違いまで詳しく解説します。
建設コンサルタントとは
建設コンサルタントの概要
建設コンサルタントとは、主に公共事業における社会インフラの計画・調査・設計・維持管理を担う技術専門家集団です。国や地方自治体からの依頼を受けて、道路、橋梁、河川、ダム、上下水道、港湾などの設計業務を行います。
実際の工事(施工)は行わず、工事の前段階である「上流工程」を担当するのが特徴です。発注者(国・自治体)の事業執行を技術面でサポートする立場にあります。
建設コンサルタントの登録部門
建設コンサルタントには、国土交通省への登録制度があり、21の専門部門に分かれています。
- 河川、砂防及び海岸・海洋
- 港湾及び空港
- 道路
- 鉄道
- 上水道及び工業用水道
- 下水道
- 農業土木
- 森林土木
- 都市計画及び地方計画
- 地質
- 土質及び基礎
- 鋼構造及びコンクリート
- トンネル
- 施工計画、施工設備及び積算
- 建設環境
- など
建設コンサルタントの仕事内容
主な業務
- 計画業務:公共事業の企画立案、基本構想の策定
- 調査業務:現地調査、地質調査、測量
- 設計業務:基本設計、詳細設計、図面作成
- 積算業務:数量計算、工事費の算出
- 維持管理業務:既存インフラの点検・診断、補修設計
- 環境アセスメント:環境影響評価
具体的な業務の流れ
- 発注者(国・自治体)からの業務依頼
- 現地調査・資料収集
- 計画・設計条件の整理
- 構造計算・解析
- 設計図面の作成
- 数量計算・積算
- 報告書の作成・納品
- 発注者への説明・協議
主なクライアント
建設コンサルタントのクライアントは、主に以下の官公庁です。
- 国土交通省(地方整備局)
- 都道府県
- 市区町村
- NEXCO(高速道路会社)
- 独立行政法人(水資源機構など)
民間企業からの依頼もありますが、公共事業が業務の大半を占めます。仕事の受注は入札形式で行われるのが特徴です。
建設コンサルタントとゼネコンの違い
| 項目 | 建設コンサルタント | ゼネコン |
|---|---|---|
| 立場 | 発注者側のパートナー | 受注者側 |
| 主な業務 | 計画・調査・設計 | 施工(工事) |
| 工程 | 上流工程(工事の前段階) | 下流工程(実際の工事) |
| 成果物 | 設計図面・報告書 | 完成した構造物 |
| 勤務場所 | オフィス中心(現場調査あり) | 現場中心 |
| 必要資格 | 技術士、RCCM | 施工管理技士 |
建設コンサルタントが設計した図面をもとに、ゼネコンが工事を行うという関係です。同じ建設業界でも役割が明確に分かれています。
建設コンサルタントの年収
平均年収
建設コンサルタントの平均年収は約500〜550万円程度で、日本の平均給与より高い水準です。大手企業では700〜900万円を超えることも珍しくありません。
| 経験年数 | 年収目安 |
|---|---|
| 新卒〜3年目 | 300〜400万円 |
| 5年目 | 400〜500万円 |
| 10年目 | 500〜650万円 |
| 15年以上(技術士取得) | 700〜1,000万円以上 |
年収に影響する要素
- 企業規模:大手は年収が高い傾向
- 保有資格:技術士取得で大幅アップ
- 経験年数:実務経験に応じて昇給
- 専門分野:需要の高い分野は優遇される
大手建設コンサルタントの年収
業界大手では平均年収700〜900万円以上の企業もあります。セントラルコンサルタント、NJS、パシフィックコンサルタンツなどが上位にランクインしています。
建設コンサルタントに必要な資格
技術士(建設部門)
技術士は、建設コンサルタントにおける最重要資格です。業務の「管理技術者」として業務を受注するためには、技術士資格が必要となります。
- 第一次試験:合格率40〜50%程度、技術士補の資格が得られる
- 第二次試験:合格率10〜15%程度、技術士の資格が得られる
技術士を取得すると、年収100〜200万円アップも期待できます。建設コンサルタントとしてキャリアアップを目指すなら、必ず取得すべき資格です。
RCCM
RCCM(シビルコンサルティングマネージャ)は、一般社団法人建設コンサルタンツ協会が認定する民間資格です。技術士に準ずる資格として、管理技術者の要件を満たすことができます。
- 合格率:30〜40%程度(2024年度は31.7%)
- 受験資格:学歴に応じた実務経験が必要
- 技術士取得前のステップとして有効
その他の関連資格
- 測量士・測量士補
- 土木施工管理技士
- コンクリート診断士
- 地質調査技士
建設コンサルタントに必要なスキル
- CAD操作スキル:AutoCADなどの図面作成ソフト
- BIM/CIMスキル:3次元モデル作成
- 構造計算能力:力学の知識
- 文章作成能力:報告書の作成
- コミュニケーション能力:発注者との協議
- プレゼンテーション能力:提案内容の説明
建設コンサルタントのメリット・デメリット
メリット
- 社会貢献度が高い:インフラ整備を通じて社会に貢献
- 専門性が活かせる:技術力が評価される
- 比較的高収入:資格取得で年収アップ
- デスクワーク中心:現場作業は少ない
- 成果物が形に残る:達成感がある
デメリット
- 残業が多い傾向:納期前は忙しい
- 責任が重い:設計ミスは許されない
- 継続的な勉強が必要:資格取得・技術習得
- 現場調査で出張もある:全国各地への出張
建設コンサルタントに向いている人
- 設計やものづくりに興味がある人
- 社会インフラに関わる仕事がしたい人
- デスクワーク中心で働きたい人
- 専門性を高めてキャリアアップしたい人
- 資格取得に意欲的な人
- 論理的思考ができる人
まとめ
建設コンサルタントは、社会インフラの計画・調査・設計を担う専門職です。ゼネコンが工事を行う前の「上流工程」を担当し、発注者(国・自治体)のパートナーとして活躍します。
年収は平均500〜550万円程度ですが、技術士資格を取得すれば1,000万円以上も目指せます。土木の知識を活かしてデスクワーク中心で働きたい方、設計業務に興味がある方におすすめの職種です。