この記事では、土木業界の残業の実態と、法改正による変化を解説します。
土木業界の残業の現状
他業種との比較
国土交通省の調査によると、建設業の年間総労働時間は全産業平均より約350時間長い状況でした。
| 業種 | 年間総労働時間 |
|---|---|
| 建設業 | 約1,978時間 |
| 全産業平均 | 約1,632時間 |
| 差 | 約346時間 |
出典:国土交通省「最近の建設業を巡る状況について」
残業が多かった理由
- 人手不足:技能者の減少により一人あたりの業務量が増加
- 工期の制約:決められた期限までに完成させる必要がある
- 天候の影響:雨天で作業できなかった分を取り戻す必要がある
- 繁忙期の集中:年度末に工事が集中する
- 書類作成業務:施工管理者の事務作業が多い
2024年4月からの時間外労働の上限規制
上限規制の内容
2024年4月から、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました。
| 項目 | 上限 |
|---|---|
| 原則 | 月45時間・年360時間 |
| 特別条項適用時 | 年720時間以内 |
| 単月 | 100時間未満(休日労働含む) |
| 複数月平均 | 80時間以内(休日労働含む) |
| 月45時間超えの回数 | 年6回まで |
※災害の復旧・復興事業については、一部規制が適用されません。
違反した場合の罰則
上限規制に違反した場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。企業にとっては公共工事の入札にも影響するため、法令遵守が求められています。
上限規制適用後の変化
残業時間の減少
2024年の調査によると、上限規制適用後に残業時間が減少しています。
| 残業時間 | 2024年3月まで | 2024年4月以降 |
|---|---|---|
| 月45時間未満 | 52.7% | 65.2% |
| 月45〜60時間 | 27.1% | 22.7% |
| 月60〜80時間 | 13.9% | 8.4% |
出典:NSSスマートコンサルティング「建設業界の働き方改革」に関する実態調査(2024年6月)
所定外労働時間の減少
厚生労働省の毎月勤労統計によると、建設業の所定外労働時間は2024年に入ってから前年同月比で5%以上の減少が続いています。
残業に関する課題と対策
残る課題
- 残業代で稼げなくなったという声
- 残業時間は守られているが、工期が厳しい案件が増えた
- サービス残業の懸念
- 中小企業への浸透
企業・業界の対策
- 適正な工期設定:無理のない工期で受注
- 週休2日制の推進:4週8休の導入
- ICT・DXの活用:業務効率化による労働時間短縮
- 勤怠管理の徹底:正確な労働時間の把握
- 施工時期の平準化:繁忙期と閑散期の差をなくす
転職者が確認すべきポイント
土木業界への転職を考えている方は、以下の点を確認しましょう。
| 確認項目 | チェックポイント |
|---|---|
| 残業時間 | 月平均の残業時間、繁忙期の残業時間 |
| 休日 | 週休2日制か、年間休日日数 |
| 残業代 | 固定残業代の有無、超過分の支払い |
| 勤怠管理 | タイムカードやシステムでの管理 |
| 働き方改革への取り組み | ICT導入、業務効率化の状況 |
今後の見通し
改善の継続
国土交通省は出先事務所の発注工事でも月単位の週休2日を推進しており、完全週休2日の普及も進める方針です。今後も労働環境の改善は継続されると予想されます。
給与への影響
残業時間の減少により残業代が減る可能性がありますが、一方で公共工事設計労務単価の引き上げや、週休2日工事での経費補正により、基本給の上昇も進んでいます。
まとめ
土木業界は長時間労働が課題でしたが、2024年4月からの時間外労働の上限規制により、残業時間は確実に減少しています。月45時間未満の残業で働く人が6割以上に増加するなど、改善が進んでいます。
転職を考えている方は、残業時間や休日、働き方改革への取り組み状況を確認することが重要です。労働環境が改善されている今は、土木業界への転職を検討する良いタイミングと言えるでしょう。