現場レポート

土木業界の残業の実態|2024年からの上限規制と改善状況

techtek 2026.02.09 6 min read

土木・建設業界の残業の実態と、2024年4月から適用された時間外労働の上限規制を解説。残業時間の改善状況と今後の見通しを紹介します。

この記事では、土木業界の残業の実態と、法改正による変化を解説します。

土木業界の残業の現状

他業種との比較

国土交通省の調査によると、建設業の年間総労働時間は全産業平均より約350時間長い状況でした。

年間総労働時間の比較(令和3年度)
業種 年間総労働時間
建設業 約1,978時間
全産業平均 約1,632時間
約346時間

出典:国土交通省「最近の建設業を巡る状況について」

残業が多かった理由

  • 人手不足:技能者の減少により一人あたりの業務量が増加
  • 工期の制約:決められた期限までに完成させる必要がある
  • 天候の影響:雨天で作業できなかった分を取り戻す必要がある
  • 繁忙期の集中:年度末に工事が集中する
  • 書類作成業務:施工管理者の事務作業が多い

2024年4月からの時間外労働の上限規制

上限規制の内容

2024年4月から、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました。

時間外労働の上限
項目 上限
原則 月45時間・年360時間
特別条項適用時 年720時間以内
単月 100時間未満(休日労働含む)
複数月平均 80時間以内(休日労働含む)
月45時間超えの回数 年6回まで

※災害の復旧・復興事業については、一部規制が適用されません。

違反した場合の罰則

上限規制に違反した場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。企業にとっては公共工事の入札にも影響するため、法令遵守が求められています。

上限規制適用後の変化

残業時間の減少

2024年の調査によると、上限規制適用後に残業時間が減少しています。

残業時間の変化(調査結果)
残業時間 2024年3月まで 2024年4月以降
月45時間未満 52.7% 65.2%
月45〜60時間 27.1% 22.7%
月60〜80時間 13.9% 8.4%

出典:NSSスマートコンサルティング「建設業界の働き方改革」に関する実態調査(2024年6月)

所定外労働時間の減少

厚生労働省の毎月勤労統計によると、建設業の所定外労働時間は2024年に入ってから前年同月比で5%以上の減少が続いています。

残業に関する課題と対策

残る課題

  • 残業代で稼げなくなったという声
  • 残業時間は守られているが、工期が厳しい案件が増えた
  • サービス残業の懸念
  • 中小企業への浸透

企業・業界の対策

  • 適正な工期設定:無理のない工期で受注
  • 週休2日制の推進:4週8休の導入
  • ICT・DXの活用:業務効率化による労働時間短縮
  • 勤怠管理の徹底:正確な労働時間の把握
  • 施工時期の平準化:繁忙期と閑散期の差をなくす

転職者が確認すべきポイント

土木業界への転職を考えている方は、以下の点を確認しましょう。

確認項目 チェックポイント
残業時間 月平均の残業時間、繁忙期の残業時間
休日 週休2日制か、年間休日日数
残業代 固定残業代の有無、超過分の支払い
勤怠管理 タイムカードやシステムでの管理
働き方改革への取り組み ICT導入、業務効率化の状況

今後の見通し

改善の継続

国土交通省は出先事務所の発注工事でも月単位の週休2日を推進しており、完全週休2日の普及も進める方針です。今後も労働環境の改善は継続されると予想されます。

給与への影響

残業時間の減少により残業代が減る可能性がありますが、一方で公共工事設計労務単価の引き上げや、週休2日工事での経費補正により、基本給の上昇も進んでいます。

まとめ

土木業界は長時間労働が課題でしたが、2024年4月からの時間外労働の上限規制により、残業時間は確実に減少しています。月45時間未満の残業で働く人が6割以上に増加するなど、改善が進んでいます。

転職を考えている方は、残業時間や休日、働き方改革への取り組み状況を確認することが重要です。労働環境が改善されている今は、土木業界への転職を検討する良いタイミングと言えるでしょう。

参考リンク

Tags

DX ICT 人手不足 働き方改革 施工管理
現場レポートの記事一覧へ

関連する記事